PaO2の異常

患者さんの様子を観察

 

 

 

まず、患者さんの様子を観察します。

 

 

 

SpO2は、95〜97%が正常値です。
そのSpO2が93%以下になると、患者さんの顔色が悪い、調子が悪いなど、
患者さんの様子から見た目でもその低下を推察することができるようになります。
低酸素が疑われる数値が示された場合は、
まず、呼吸回数、脈拍数などのバイタルサインをチェックし、
顔色や疼痛の有無などの一般状態を観察し、患者さんに低酸素状態の徴候があるかどうかを確認します。

 

 

 

SpO2値以外に、明らかに低酸素状態を示すサインがあれば、
低酸素状態にあるとして対応します。
低酸素状態の場合は、緊急を要する事もあるので、
すぐに医師や他のスタッフを呼び、酸素療法や血液ガス分析を行うなどの先の処置に備えるようにします。

 

 

 

データの信頼性を確認

 

 

 

PaO2が低くなると、それにともなってSaO2も低下します。
低酸素が疑われる場合は、血液ガスを測定していればPaO2をみて、
血液ガスデータがなければSpO2をみます。

 

 

 

病棟では、通常「低酸素かな?」と思っても、すぐ血液ガスを検査することはあまりありません。
殆どの場合は、パルスイオシキメーターによってSpO2を測定します。

 

 

 

パルスイオシキメーターの数値に異常がみられる場合は、データの信頼性を確認する事もとても大切です。

 

 

 

SpO2値が低くても、患者さんの顔色がよく、脈拍も速くなく、
呼吸もゆっくりで落ち着いていて、低酸素状態とは考えられにくい状態のことがあります。

 

 

 

このような場合は、出ているデータの信頼性に問題がないかどうかを疑い、
低く出ているSpO2値が正しいかどうかの評価をする事も必要です。

 

 

 

(1) パルスオキシメーターは正しく作動しているかを確認

 

 

 

パルスオキシメーターは、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの赤色光と赤外光の吸光度の違いを利用し、
酸素飽和度を測定する医療機器です。
ですから、センサーを装着している部位の脈が感知できないと、
その値の信頼性は低くなります。
特に、指先にパルスオキシメーターを装着する場合、
抹消血管の収縮や爪の変形・肥厚などがあると正確なデータを得ることができない場合があり、
誤差を生じることがあります。

 

 

 

脈拍を正常に感知しているかどうかの表示は、使用している器具の種類によって異なります。
簡易タイプのものでは、脈拍が同期しているか、脈拍同期を示すマークの点滅が速くないかを確認します。
波形が見られるタイプのものでは、高低差のある波形がみられるかどうかを確認します。

 

 

 

(2) 患者さんが体を動かしていないかどうかを確認

 

 

 

SpO2に誤差を生じる原因の一つとして、患者さんの体動があります。
脈拍をきちんと完治していても、患者さんが動き回っていたり、
指先を動かしていたりすると数値を正しく測ることができない場合があります。

 

 

 

じっとしていられない患者さんや、けいれんや震えのある患者さん、
イライラしている患者さんなどは正確な値を得にくいので、
必要があれば血液ガス分析を行います。

 

 

 

(3) 患者さんに貧血がないかどうかを確認

 

 

 

パルスオキシメーターは、ヘモグロビンの飽和度に依存しています。
貧血の患者さんは、O2を運搬するヘモグロビンの量が少ないため、
あまり正確な値が得られません。
特に貧血が進んだ患者さんは、常に高めのSpO2を示します。

 

 

 

実際に、貧血が進んでいる患者さんは、ヘモグロビンの量が少ないため、
常に息苦しく、呼吸回数が多く、脈も速いという低酸素状態を示すことがあります。
この場合は、酸素療法を行ったとしても、血液中に含まれるO2の値は改善しないので、
自覚症状は変わらないことが多いです。
このような場合の根本的な治療としては、貧血を治すことが必要です。
ですから、患者さんのヘモグロビン値を把握しておくことが大切です。

 

 

 

SpO2以外に低酸素状態を示すサインが見られない場合は、
患者さんの状況にも寄りますが、慌てずにしばらく時間を置いてから再測定します。

 

 

 

再測定の場合は、血流があり、脈波を拾うことが可能そうな部位を探し、
パルスオキシメーターを装着して正確な数値を得ることができるようにします。


inserted by FC2 system