低酸素の状態とは

「酸素を取り込むための呼吸」、「酸素を運ぶ役割の血液」、
「血液を循環させるポンプの役割を持つ心境」のいずれかに異常があると、
低酸素状態にあります。

 

 

 

低酸素の徴候として現れる症状は、頻呼吸や呼吸困難、脈拍上昇、血圧上昇、
不整脈、意識障害、チアノーゼなどがあるので、
患者さんの様子を良く見て観察します。

 

 

 

また、呼吸は呼吸回数が増加していないかどうか、
胸郭の動きは正常かどうか、呼吸音に異常はないかどうかをアセスメントします。

低酸素状態にある患者さんの状態

肺胞低換気状態

 

 

 

肺胞低換気状態とは、何らかの原因によって吐いたり吸ったりする力が弱くなり、
一分間に肺を出入りする空気の量が相対的に少なくなっている状態をいいます。

 

 

 

肺胞低換気状態になると、体内に取り入れることができる酸素(O2)の量が少なくなるため、
SpO2が低下します。
そして、この状態になると、同時にCO2の排泄も障害されるので、
PaCO2も高値になっています。

 

 

 

シャントがある

 

 

 

シャントとは、静脈血が酸素化されないまま動脈血と混ざり合う減少です。

 

 

 

シャントの原因は、肺動脈と肺静脈の間の一部が、
ガス交換できないままつながってしまうことで、解剖学的原因と病的原因の二つがあります。

 

 

 

解剖学的原因
先天性のファロー四徴症などがありますが、シャントは健康な人にも存在します。
それが解剖学的シャントです。
解剖学的シャントは、心拍出量の3%程度あり、SaO2の正常値が100%ではなく、
97%あるのはそのためです。
この3%のうち、心臓を栄養する冠動脈に1%、気管支や気管を栄養する気管支動脈に1%とされ、
そのほかに、血中に含まれる異常なヘモグロビンによる1%がおおよその量とされています。

 

 

 

病的原因
病的シャントは、気管支に痰などが詰まって気管が閉塞したり、
大葉性肺炎などで肺の一部の換気が全くされないため、
その部分を通る肺毛細血管を流れる静脈血が酸素化されずにそのまま左心房に流れ込む、
また、肺胞がつぶれるなどして酸素を受け取ることが出来ない血液が混ざる状態をいいます。
動脈に流れるシャントの比率を「シャント率」と言います。
シャント率が50%になるとPaO2は改善しないと言われ、
このような状態になると非常に強い低位酸素症状を起こす可能性があることを知っておく必要があります。

 

 

 

換気血流比の不均衡(V/Qミスマッチ)

 

 

 

換気血流比の不均衡(V/Qミスマッチ)とは、
肺胞毛細血管の血流量が多い部分の肺胞換気が不良になっている状態です。

 

 

 

気管支れん縮(喘息発作)や肺炎、肺水腫、COPD、気管支拡張症などが原因となり、
一部の肺胞が十分換気されないため、そこを流れる静脈血が十分酸素化されないため、
全体として動脈血の酸素分圧が低下します。

 

 

 

換気の悪い肺胞が、肺の中のあちこちに点在しているイメージです。

 

 

 

ガス交換障害がある

 

 

 

肺胞と毛細血管の間には、肺胞毛細血管膜という膜があります。
O2とCO2は、その膜を通してガス交換されています。

 

 

 

肺胞毛細血管膜が、何らかの原因で厚みが増すと、
ガス交換に時間がかかるようになり、結果的に低酸素血症になります。

 

 

 

厚みが増す原因とは、肺水腫で分泌物が詰まったり、
間質性肺炎によって肺胞毛細血管膜(間質)に炎症が起きる、
また、ARDSやALIなど急性の炎症などがあります。


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