血液ガスデータの単位

Torr = mmHg でも、単位法としては用途に違いがあります。
そして、単位を見ると血液中の電解質量が微小であることがわかります。

圧力の単位は、Torr とmmHg

圧力の単位は、TorrとmmHgの二つです。

 

 

 

血液ガスデータでは、様々な単位が使われていますが、
その中で、mmHg(ミリメートルエイチジー)とTorr(トル)という
2種類の単位が使われているものが圧力です。

 

 

 

1943年、イタリアの科学者であるトリチェリ博士が、
ガラス管に水銀(Hg)を入れて大気圧を測定したところ、
ガラス管の中の水銀の高さが760mmだったことにより、
もともと圧力は、mmHgという単位が使われていました。

 

 

 

ガラス管に水銀(Hg)を入れて大気圧を測定したところ、
ガラス管の中の水銀の高さが760mmだったこととは、
大気圧が760mmの水銀柱を支えているということであり、
760分の1の圧力で、水銀柱1mmを支えることができるということになります。
そこで、1mmの水銀柱のもたらす圧力を1mmHgという単位として規定し、
1気圧を760mmHgとしました。

 

 

 

これに対し、Torrは、mmHgを単位としたトリチェリ博士の名前に由来しています。
1mmHg=1Torrです。
ですから、どちらの単位を使っても間違いではありません。

 

 

 

国際単位系において、圧力の単位は、現在Pa(パスカル)に統一されています。
ですが、日本国内の単位法では、例外的な措置として、
生体内の圧力の単位としてのTorr、
そして、血圧を示す単位としてのmmHgの使用が認められ、
その使用が継続されています。

粒子数か電荷数かで単位が変わる

電解質などで用いられる単位にmmol/l(ミリモル・パー・リットル)という単位があります。
mmol/l(ミリモル・パー・リットル)は、
1リットルの液体に溶けている原子や分子、イオンの粒子数を示していて、
molとは物質の粒子数を表す単位となっています。

 

 

 

1molとは、粒子が6.02×10の23乗 個集まったものです。

 

 

 

電解質に対して、1000分の1molにあたるmmolという単位を使用しているのは、
H+など、電解質が極めて少量しか溶解していないためです。

 

 

 

このそして、このmmol/l(ミリモル・パー・リットル)という単位に対し、
溶液中の物質の濃度を電荷数で表すときに使われるのがeEq(ミリグラム当量)です。
電荷とは、物質が帯びている電気のことをいいますが、電荷には、正電荷(+)と負電荷(−)があります。
つまり、電荷数とは、H+やHCO3-のように表記されている場合の+と-の数のことと考えて構わないとされています。

 

 

 

1Eqは、電子が6.02×10の23乗 個集まったものであり、その数はmolと同じです。
そのため、Na+のように、電荷数が1の電解質の場合は、「1mmol」=「1mEq」となります。

水素イオン(H+)の濃度はナノレベル

pHとは、水素イオン(濃度)指数のことで、
物質の「酸性」と「アルカリ性」の度合いを示すものです。
そして、H+は、他の電解質に比べて非常に濃度が低いので、
log(常用対数)を用いて計算されます。

 

 

 

例えば、pHが基準値にある場合のH+の粒子数は、
40nmol(ナノモル)で、その単位は、mmolの100分の1を示すμmol(マイクロモル)の
さらに100分の1を表しています。

 

 

 

つまり、100万分の1molということになり、ナノレベルであることがわかります。

 

 

 

pHは一定の計算式である(Henderson-Hasselbalchの式)で求めますが、
もし、実数で計算をすると、その表記にはゼロがたくさん並んでしまいます。
そのため、logを使用し、その数値を現在のような範囲である(0〜14)にとどめるようにしています。

 

 

 

このように、粒子数か電荷数かで単位が変わることを覚えておきましょう。


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