血液pHの急激な変動を抑える緩衝系物質

血液のpHは常に一定になるように狭い範囲(7.40ブラスマイナス0.05)に調節されています。
これを「酸塩基平衡」といいます。

 

 

 

血液pHが、7.40ブラスマイナス0.05という狭い範囲に調節されているのは、
血液の内部環境が中性から弱アルカリ性に保たれていないと、
細胞が働くことができないからです。

 

 

 

pHは、強酸が加わるとすぐ大幅に低下するのが通常です。
例えば、pH7.0の溶液に塩酸を滴下すると、一気にpHは5.0くらいに下がります。
ですが、人間の場合は、血液pHが7.20未満になると重症で死に至る事もあります。
しかし、人間は細胞機能を守るために、体内にある弱酸や弱塩基が、
新たに加わった強酸、或いは塩基のpH変化を弱め、元の状態に維持しようと働きます。
この働きを「緩衝」といい、この緩衝によって一気にpHが5.0くらいに下がるような大きな変動は起こりません。
H+が産生された場合は、HCO3-と結合し、H+が増加しないようにしています。
このときのHCO3-の働きが、「緩衝作用」です。

 

 

 

このように、血液pHの動きを和らげる働きをする物質のことを「緩衝系」と呼び、
緩衝系には、@重炭酸緩衝系(HCO3-)、Aリン酸緩衝系(HPO42-)、Bヘモグロビン緩衝系、
C血漿蛋白緩衝系があります。

 

 

 

この@〜Cの緩衝系は、どれも反応性の高いH+を血液中から取り除いていますが、
主に緩衝作用をするのはHCO3-です。
そして、他の緩衝系が一度は結合したH+を再びH+として放出するのに対し、
HCO3-はH+と結合してH2CO3になった後、H2OとCO2に分解され、
呼気によってCO2を排泄することができるため、最も重要な物質であるといえます。

 

 

 

また、HCO3-は、腎臓での産生、再吸収が可能です。
ですから、この緩衝系の働きには、腎機能が正常であることがとても大切です。


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