CaO2 血液ガスの用語
CaO2は、血液中に含まれる酸素量を表した値で、
酸素化が十分にできているかを見る指標として用いられます。
Hbと酸素飽和度、酸素分圧
血液中には、ヘモグロビン(Hb)と結合している酸素と、
血液中に溶解している酸素があります。
そして、この二つのヘモグロビン(Hb)と結合している酸素と、
血液中に溶解している酸素の量を足したのが、CaO2(動脈血酸素含有量)です。
CaO2(動脈血酸素含有量)は、単位量の血液の中に、実際に含まれている酸素はどのくらいかを表します。
血液中の酸素がヘモグロビン(Hb)と結合するのは、
効率的に抹消組織へ酸素を運ぶためです。
その酸素化の指標であるPaO2は、動脈血中の酸素分圧を示していて、
SaO2は動脈血中の酸素飽和度を表しています。
そして、ヘモグロビンは、PaO2が高いと結合しやすいので、
PaP2が高くなると、ヘモグロビンと結合する酸素の量も増え、
SaO2も高くなります。
ですが、PaP2やSaO2が高い値を示していたとしても、
貧血などで、もともと血液中にあるヘモグロビンの総量が少なければ、
抹消組織に十分な量の酸素を運ぶことができません。
そこで、酸素化が本当に十分であるかどうかを見極めるために、
CaO2を用います。
CaO2を求める計算式
CaO2は、計算式で求めます。
CaO2 = (Hb × 1.34 × SaO2/100) + (0.003 × PaO2)
例えば、成人女性のHb基準値は、11.5〜15.0/dlです。
SaO2:98%、PaO2:100Torr、Hb:14.0として、貧血がない状態伝CaO2を求めてみると、
CaO2 = (14.0 × 1.34 × 98/100) + (0.003 × 100) ≒18.4 + 0.3 ≒ 18.7ml/dl
となります。
貧血があり、たとえばHbが7.5g/dlの場合は、
CaO2 = (7.5 × 1.34 × 98/100) + (0.003 × 100 ≒ 9.8 + 0.3 ≒ 10.0ml/dl
となります。
つまり、たとえPaO2とSaO2が高い値を示していても、
ヘモグロビンの総量が少なくなると、CaO2は低いということがわかります。
仮に、酸素療法などを行い、PaO2とSaO2をさらに上げ、
SaO2:100%、PaO2:300Torrになったとしても、計算式で求めてみると、
CaO2 = (7.5 × 1.34 × 100/100) + (0.003 × 300) = 10.5 + 0.9 =11.4
となり、依然として基準値にある場合の値よりも、かなり低い状態になります。
このように、ヘモグロビンの総量が少ないと、PaO2とSaO2の値が高くても、
頻脈や息苦しさがあったり、
酸素を投与しても呼吸困難が改善されないなどの場合があります。
そのときは、CaO2を算出してみることにより、
血液中に酸素が十分含まれているかどうかを確認することができます。
患者さんの全身状態を見極めながら、必要に応じてこの計算式を使い、
CaO2を算出してみてください。